8月12日に、「動物の適切な飼養管理方法等に関する検討会」で承認された、犬猫の繁殖・販売業者の数値規制改正案が最近ニュースでも取り上げられていますね。
すでに承認されましたが、問題視されている面もあるようなので、規制の主なポイントと問題点などをあげながら、どう動物たちの境遇が改善されるのか、そして私たちへの影響などを考えていこうと思います。
① 飼養施設の管理、飼養施設に備える設備の構造及び規模並びに当該設備の管理に関する事項:
運動スペース分離型(ケージ飼育等)の基準
寝床や休息場所となるケージと運動スペースを分離するタイプ(分離型)のサイズ:
<寝床や休息場所となるケージ>
犬:タテ体長の2倍×ヨコ体長の1.5倍×高さ体高の2倍
猫:タテ体長の2倍×ヨコ体長の1.5倍×高さ体高の3倍
<運動スペース>
• 一体型の基準(後述)と同一以上の広さを有する運動スペースを確保し、 1日
3時間以上運動スペースに出し運動させることを義務付け
• 運動スペースは、常時運動に利用可能な状態で維持管理することを義務付け
運動スペース一体型(平飼い等)の基準
寝床や休息場所と運動スペースを含む飼養設備(檻・ケージ等)のサイズ:
犬:分離型のケージサイズの床面積の6倍×高さ体高の2倍
猫:分離型のケージサイズの床面積の2倍×高さ体高の4倍
(2つ以上の棚を設け3段以上の構造とする)
ケージ等の構造等の基準:
• 金網の床材としての使用の禁止(四肢の肉球が傷まないように管理されている
場合を除く)
• ケージ等及び訓練場に錆(サビ)、割れ、破れ等の破損がないことを義務付け
② 動物の飼養又は保管に従事する従業者の員数に関する事項:
犬:1人当たり繁殖犬15頭、販売犬等20頭まで
猫:1人当たり繁殖猫25頭、販売猫等30頭まで
親と同居している子犬・子猫は頭数に含めない
※犬と猫の双方を飼養する場合は、上記を踏まえ、それぞれの飼養頭数の上限を
設定する(例えば、販売犬が10頭の場合、販売猫は15頭、計25頭まで)。
⑥ 動物を繁殖の用に供することができる回数、繁殖の用に供するこ
とができる動物の選定その他の動物の繁殖の方法に関する事項
犬:メスの交配は6歳まで(満7歳未満)
ただし、満7歳時点で生涯出産回数が6回未満の場合は、7歳まで
猫:メスの交配は6歳まで(満7歳未満)
引用元:適正な飼養管理の基準の具体化について飼養管理基準として定める事項(案)資料1−1 https://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/2_data/tekisei/h29_07/mat01_01.pdf
などがあげられています。
飼育管理に明確な基準がなく、劣悪業者にまるで繁殖用の「もの」のように犬猫が酷使されることを許していた今までの法律よりも、だいぶ進歩し、段々と動物目線になってきたと感じます。また、実際の過去の虐待事件に基づいて具体化された案などもありました。
問題視されている点は、例えば:
・犬猫両方のメスの繁殖回数が制限されておらず、年齢、でしか制限をかけていないこと。
・一人の従業者に対しての、担当する犬猫の数が大きすぎる
一点目については、これからさらに改正されていくことも見込めます(すでに回数で数えたほうがいい、という意見が多いため)。しかし、制限されても何回も出産をすれば必然的に母体は弱り、犬種にはよりますが、授乳によるカルシウム不足などにより、ヘルニアなどの病気を発症しやすくなります。また、私個人的には、7年もの間ずっと繁殖犬として生かされ、毎日ケージに閉じ込められた状態になるのは、納得できません。
適正に繁殖させているブリーダーや、その獣医師に聞く平均出産年齢と回数は、5歳までに3産とのことから、引退後、健康に過ごすことができる生活を考慮し、身体に負担がかからない生涯3産、5歳までとしていただきたいです。
http://www.eva.or.jp/suchi_youbou
二点目についても、同意見です。正直最初に数を見たときは、疑問を覚えました。一人が20−30匹も担当することができるのか、と思いました。基本の給餌給水、排泄の世話などに加え、個体はそれぞれみんなコンディションが違いますし、販売ともなれば、接客や世話以外の事に追われます。命を預かっている以上、常に当たり前にできているべき健康管理も満足にできない状況になる、と思わざるをえません。他の好条件が揃っていても、面倒をみるべき従業者たちがしっかりと動物の様子をモニターできなければ、この”改正案”も意味をなしません。
繁殖犬猫も同様に、適切な管理をしている柴犬のブリーダーは、40頭を5名で管理していました(8頭/1名)また繁殖の場合、子犬子猫の世話もあることから、多くても1名で10頭まででなければ適正飼育にはなりません。
http://www.eva.or.jp/suchi_youbou
…と、問題点や争点はまだ残りますが、上記の数値規制が盛り込まれた環境省令は、来年6月に施行されるということなどで、これからどう改善されていくのか、本当に効果があるのか、見ていきたいところです。
