
ボランティア初日。
当然だけれど、動物たちにすぐ対面、とはいかず、まず施設内のルールや一連の作業、私たちがこれからお世話になるスタッフの紹介をしてくれた。
冒頭から驚いたのは、Traffic Light System = 直訳すると、信号システムというもの。
- 青は新入り。
- 黄色は人に慣れさせている途中で調教中、もしくはなんらかの問題があって緑に進めることができない子。
- 緑は全く問題がなく、しっかりと調教されていてすぐに里親募集の手続きに進められる、もしくは進んでいる子。
- 赤は病気や怪我をしていたり、人にまだ慣れられていない子=里親募集にはかけられない子。
ケンネルに続く扉を開けてまず目に飛び込んできたのは、白い壁に掛かった大きなホワイトボード。そこには全ての犬たちのコンディション、好きなもの、嫌いなもの、最近の運動、近況報告など諸々詳しく書かれていた。スタッフやボランティアにとっては普通のことかもしれないが、その詳細さから犬猫たちへの愛情と熱意が感じられた。
赤は危なく緑は数が比較的少ないため、私たちが挨拶にいった子たちは全員黄色か青で、一通り紹介が終わると、緑のイタリアン・グレー・ハウンドのネッティ(Nettie – ♀)の散歩をさせてもらった。彼女を連れ出す前スタッフの方に「散歩の前はいつもすごく興奮するから、気をつけてね」と警告してもらったけれど、いざケンネルから出すと良い子だった。私たちの歩調に合わせ、リードも引っ張ることなく、ゆっくりと歩いてくれた。グレー・ハウンドの代表的な性格の一つである穏やかさから来ているものなのかもしれないけれど、さすが緑に分類されている子だな、と微笑ましかった。
ここで観察ポイント:野生の勘が働くのか、ネッティは散歩の途中で度々立ち止まって耳をピンと立たせ、慎重にあたりを見渡していた。後々聞いてみると、施設の周りにはよく野生のウサギが出るようで、猟犬種としてそれを本能的に感じ、獲物を探していたのかもしれない。視覚ハウンド(サイトハウンド ー 嗅覚ではなく、優れた視覚と走力で獲物を捕獲する犬)の部類のため、一生懸命草むらの方に目を凝らしていたのは、納得できる。野生の勘が残ってるのはやはり興味深い。いくらペットとして飼われてきていても、事情があって保護されていても、それくらい遺伝的に根深く残ってるっているということ。どうやっても抗えない本能があるというのはとても動物らしくて、羨ましささえも覚える。
30分ほど施設の中を散歩(ある程度活動に慣れるまで、外には連れていけない)した後ネッティを戻し、最近入設したという仔犬たちに会いに行った。仔犬たちは6つ子で、雑種のようだった。母犬はおらず、仔犬たちだけビーチに置き去りにされていたようで、そこから数百キロも車に乗せられて施設に来たらしい。
私はそのうちの3匹の相手をさせてもらった。置き去りにされていた、と聞いていたため、すぐには仲良く慣れない覚悟をしていたのだが、どの子もものすごく人懐っこくて可愛く、可能ならずっと一緒にいたいくらいの愛おしさ。トラウマや虐待の過去などはとりあえずなさそうで安心した。そんな過去があったら彼らのように初対面の人にすんなりと近づかせないし、兄弟一丸となって部屋の隅で怯えるだろう。仔犬なら尚更だ。その人懐こさ(だけ、ではないだろうが)が幸いしたのか、次の週には引き取られることが決まったらしい。もう会うことはできないけれど、里親が見つかって良かった。どうか今度は大事に、大切に、愛されますように。。。
ちなみに3匹それぞれ性格が面白いほど違って。一匹はシャイで遊びたそうにしているのに逃げてしまう子。もう一匹はやんちゃで髪やらブーツやら手やらを噛んでくる子。最後の一匹はマイペースで、ひとりウトウトしている子。当たり前かもしれないが、一見お互いに酷似していて見分けがつきにくいけれど、それぞれちゃんと意思があって、思いも性格も違うんだな、と改めて考えさせられた。
おもちゃでしばらく遊んだ後、仔犬たちには別れを言って、私たちは猫セクションにお邪魔させてもらった。触れ合う時間は多くはなかったけれど、プス(Puss – ♂) という名前の猫に会った。Trafficは黄色。おそらくボードに書いてあった ‘人と触れ合うのがまだ苦手’ 、というのがその理由だろう。それも覚悟してケンネル内に足を踏み入れた。確かに最初はブランケットの影に隠れ、顔も見せてくれなかった。しかし、声をかけながらゆっくりと時間をかけて、慎重に距離を縮めていくと、警戒するように少し指先の匂いを嗅いだ後、最後には頭を撫でさせてくれた。
撫でている途中、ボランティア仲間の友達もこんにちは、と挨拶をしに顔を出した。するといきなりプスが、毛を逆立ててフーッ!と威嚇をしたのだ。友達はなにもやっていない。声をかけただけだ。彼女のなにを感じ取ったのだろうか?私の推測では、彼女が大の動物好きではあるが扱いには慣れていなく、度々大きな言動を取って動物を驚かせてしまうことにあると思った。それがプスに伝わったのかもしれない。猫は、特に彼のような猫は、とても敏感だ。
彼女が申し訳なさそうに去った後、よしよし大丈夫だよと声かけをしながら、また優しく撫でてあげると、少し安心したのか、顔を手に擦りつけて甘えに来てくれた。その後タイムオーバーになってしまい、泣く泣く施設を後にした。プスは翌週、無事に引き取られたらしく、新しい家族ができたことに安堵した(性格上、時間がかかると思っていたから)。
お互いある意味驚いてしまったプスと彼女にはわるいけれど、この一連の言動は正直、とても興味深く感じた。やはり人間の性格や、その人と自分(動物)との相性がなんとなく感じ取れるのだろうか?と。プスの件に限らず、ネッティに、仔犬たちに出会えてもっと動物への興味が湧いた。いつか今日、ここで疑問に思ったことを、将来自分なりの答えが出せるようになりたいと思う。