“科学者たちが34年かけて234個もの氷河からデータを採取した結果、近年の平年降雪量が、夏に溶けて失われる雪と氷の量を補うことができないほど、減っていることがわかりました。
氷河の溶解によって、すでに世界中の海水面を年間平均1ミリ増やしています。もしグリーンランドの全ての氷が解ければ、結果的に平均6メートルも増やすでしょう。もちろん何十年もかかりますが、世界の沿岸都市を沈めるのには十分な量です。
北極圏は、他の地域と比べて少なくとも2倍の速度でここ30年間温暖化が進んでいます。今年の7月の海氷の量は、過去40年間で最低でした。幸か不幸か、北極圏の雪解けにより周りの地域により多くの水がもたされ、新たな輸送ルートが開放されました。また、その影響でか、化石燃料やその他の天然資源の採取への関心が高まってきています。
ヨーロッパと北アメリカを繋ぐ最短ルートが北極圏を介しているため、グリーンランドは米軍と弾道ミサイル早期警戒システムにとって戦略的に重要な存在です。デンマークが断ったため失敗に終わったものの、去年には米国大統領のドナルド・トランプ氏が買収を申し出たこともありました。
しかし、氷に閉ざされた水の量を危惧し、長年科学者たちはグリーンランドの運命を心配してきました。
新しい研究では、この地域の氷床は100年に1回しか増えないと示唆されており、万が一氷が流出し溶けてしまえば、もう一度氷河に成長させるのがどれほど困難なことか、物語っています。
氷河の衛星画像を研究した際、研究者たちは、氷河が50%の確率で2000年までに元の質量に回復できる、と述べました。しかしながらその確率は、それ以来年々減ってきています。
「私たちはいまだに、たくさんの雪が降り積もる『良い年』よりも多く、氷水を排出しています。」オハイオ州立大学の氷河学者である筆頭著者のミカリア・キング (Michalea King) は、そう述べています。また、「これらの調査結果は、政府の海面上昇への準備に拍車をかけるはずです。極地で起こることは、極地だけにはとどまらない。」と付け加えました。
それでも、世界は依然として排出量を減らし気候変動を遅らせることができる、と科学者たちは言います。たとえ、かつては200万平方キロメートルにも及んでいたグリーンランドの氷を取り戻すことができなくても、地球温暖化を抑えられれば、融氷のスピードを減速させることができます。
「気候変動について考えるとき、私たちは決してグリーンランドの氷床を元に戻す、というだけの話がしたいのではありません。」と、この調査に関与しなかった、国立雪氷データセンターの氷河学者トゥイラ・ムーン (Twila Moon)は言います 。「私たちは、海面上昇という出来事がどれほどの速さで、私たちのコミュニティ、インフラ、家族や家、そして軍事基地に影響を及ぼすのか、という話をしているのです。」”
‘Canary in the coal mine’: Greenland ice has shrunk beyond return, study finds
https://www.reuters.com/article/us-climate-change-arctic-idUSKCN25A2X3